背景: 再生可能エネルギー普及の障害(太陽光発電)
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このページに書いてあること 1) 太陽光発電の割合が大きくなると、夕方、電力の急激な 需給ギャップが起こる(ダックカーブ) 2) 火力発電だけではなく蓄電デバイスでの対応が必要 |
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![]() 図1 第6次エネルギー基本計画による電源構成目標(出所:経産省) (https://project.nikkeibp.co.jp/) |
図1に第6次エネルギー基本計画で決められた2030年の電源構成目標を示します。再エネ+原子力の非化石率は2019年で24%ですが、2030年には59%と2倍以上増加する必要があります。
再エネの内訳をみますと、太陽光は6.7%から14~16%へ、風力は0.7%から5%程度まで増加する必要があります。
しかしながら、2021年での実績は太陽光で56%、風力は19%しか達成されていません。
その原因について考えてみます。
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![]() 図2 太陽光発電の出力不安定性による問題 |
図2に示したように、太陽光発電の問題には、ダックカーブ現象、天候による出力の不安定、出力制限があります。 「ダックカーブ現象」とは、分散型太陽光発電システムを多く導入した場合、日中は太陽光発電で電力消費を賄うため実質電力需要が少なくなり、 電力需要のピークを迎える17時以降に実質電力需要が急増する現象で、電力需要から太陽光発電分を引いた実質電力需要のグラフが、 アヒルのような形を描くことから「ダックカーブ」と呼ばれています。 ここで問題となるのが、夕方3時から5時くらいに急激な電力供給の増加が必要となることです。 この急峻さは太陽光発電の割合が増えるほど激しくなります。 火力発電でこの電力供給を賄うことになりますが、火力発電の出力調整範囲には限界があり、出力調整を行うと頻繁に行うと効率が落ちます。 太陽光発電の出力が天候で左右されることも問題です。発電量はお天気まかせで電力供給計画を作ることができません。極端な場合、 天候不順でNo Sunが長期間続けば電力の安定供給にも支障をきたす場合があります。 それに備えるバックアップ電源として火力発電を用意すれば、2重の設備コストがかかりますし、火力発電設備をいつでも稼働できるようにスタンバイすることもコストがかかります。 太陽光発電設備を持つ側(発電者)にとって、一番頭が痛いのが出力制限です。電力会社は電力需要に合わせて電力供給量を細かく調整しなければなりません。 天気が良い日中で太陽光発電の発電量が多くなると、送電網の中で足りないところに電力を供給し(系統による平準化)、さらに揚水発電を使って電力を蓄えます。 しかしながら、それでも余剰電力が発生する場合は発電者側に出力を制限するよう要請します。これが出力制限と呼ばれるものです。 この出力制限は発電者にとってはたまったものではありません。 今日は天気が良いので売電できると思っていたら、電力会社からいらないと言われるのです。こんな制度があったら誰もソーラーパネルを設置しようとは思わないでしょう。 一年を通してみても、電力需要の少ない春や秋に出力制限がかかり、エアコンで電力需要が増える夏や冬には電力不足で停電などが起こります。 発電設備があって発電しているのにそのエネルギーを有効に使えない、これこそエネルギーの無駄遣いです。 注意すべきことは、太陽光発電は決して万能ではなく、導入量が増えれば環境破壊やその他の問題を引き起こすことです。 売電価格の低下も普及の障害となっています。 また、価格の安いからといって設置業者が中国製セルを使うことも、ウイグルの人権問題を考えれば慎重でなければなりません。 2023年1月27日Bloombergは、「中国がソーラー製造めぐり輸出禁止措置検討 -外国の供給網構築をけん制か」という記事を出しました。中国製の原料、製品には常にこのような問題が起こります。 太陽光発電の割合を、電力の30%程度までとするならば、家庭用の電力は太陽光でということになります。 太陽光発電のディメリットを考えれば、この程度が妥当なところです。その場合でも国産の蓄電デバイスは必要で、それと組み合わせるパネルも国産でなければなりません。 以上より、太陽光発電を大規模に普及するには、 |
日本独自の高性能蓄電デバイスを開発する必要があります |
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