各種キャパシタの比較: 積層セラミックスキャパシタ(MLCC)
|
このページに書いてあること 計算の結果、現在のMLCCの延長線上でリチウムイオン電池を 超える蓄電キャパシタはできない |
| 前ページへ | 次ページへ |
![]() 図1 積層セラミックスキャパシタ(MLCC) | ||
|
積層セラミックスキャパシタ(MLCC)は図1に示すように、誘電体であるチタン酸バリウムのセラミックスとニッケル内部電極を交互に積層した構造を持っています。
この構造により、誘電体層を薄くして積層数を増やすことで体積エネルギー密度を上げています。MLCCは現在非常に多くの電子機器の中で使わています。
年々、誘電体層は薄くなり、実験室レベルでは0.3μmまでの薄層化が可能となっています。
| ||
![]() 図2 MLCCの蓄電キャパシタとしての計算結果 | ||
|
MLCCを蓄電キャパシタとして使ったときの体積エネルギー密度の計算結果を図2に示します。
電圧1kV一定で誘電体の比誘電率を1000または3000とし、体積エネルギー密度を誘電体層の厚さに対してプロットしてあります。
誘電体層の厚みが10μm以下でエネルギー密度は顕著に増加することが分かります。
LIBの体積エネルギー密度は600Wh/l程度ですので、その値に到達するには誘電体層を1-2μmにしかればならないことがわかります。
しかし、現存する材料で厚み1μm程度で1kVの電圧をかけられる材料はありません。それよりも低い電圧で絶縁破壊するためです。
材料の比誘電率を高くすればエネルギー密度を増やすことはできますが、そうすると材料にかけられる最大の電圧が低くなってしまいます。
| ||
![]() 図3 絶縁破壊強度と誘電率の関係 | ||
|
誘電体の材料の絶縁破壊強度と比誘電率の関係を図3に示します。
材料に関わらず絶縁破壊強度(絶縁破壊電界)は材料の比誘電率の-1/2乗に比例します。
つまり、比誘電率が高くなれば絶縁破壊強度が落ちるわけです。
この理由は、セラミックスのような脆性材料の絶縁破壊は、表面にある微小クラックの先端に電場が集中することが起点となりますが、その電場の集中の程度が材料の比誘電率で変わるためです。
この関係式を用いると、誘電体セラミックスを使ったキャパシタに蓄えれるエネルギーには限界があることを示しています。 すなわち、 | ||
|
現行のMLCCを技術開発してもLIBを超える蓄電デバイスはできません。
| ||
| 前ページへ | 次ページへ |




