HV固体イオンキャパシタ(HV-SIC): 巨大分極の発現
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このページに書いてあること 1) 高電圧化の前に固体電解質を使うメリットについて考える 2) チタン酸バリウムなどの誘電体と比較し、固体電解質では電場に よるイオンの移動距離が大きいので、巨大な双極子モーメントを 発生しキャパシタの性能を決める分極も大きくなる |
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HV固体イオンキャパシタ(HV-SIC)は電気二重層キャパシタの液体電解質を固体電解質に変えることで、高電圧の印可を可能にしたキャパシタです。
重要な技術は高電圧化ですが、ここではチタン酸バリウムのような誘電体セラミックスを使う場合に比べ、固体電解質に変えることで発生する分極が非常に大きくなるメカニズムについて説明します。
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![]() 図1 巨大分極の発現機構 | ||
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キャパシタの静電容量を決める分極は単位体積当たりの双極子モーメントと定義されます。
双極子モーメントは電場により移動する電荷Qと移動量Δxの積になります。
図1の左側はペロブスカイト構造を持つ強誘電体であるチタン酸バリウムの場合です。このチタン酸バリウムは、現在、MLCC用材料として広く利用されています。
電場によりイオンの移動距離は単位格子内のイオン位置から最大でも0.1nmです。 これに対し、右側の固体電界質の場合は、100nmにもなります。この移動距離の差は両者の分極の差となりますので、固体電解質を用いた場合は、チタン酸バリウムを用いた場合よりも桁違いに高くなります。 このことは、固体電解質を用いることで巨大分極が得られることを示しています。 | ||
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