HV固体イオンキャパシタ(HV-SIC):性能予測と目標
|
このページに書いてあること 1) 第1目標は300Wh/kg.理論的な予測では、現状のHV固体 スーパーキャパシタの厚みを10μmにし、ナノ構造の サイズを320nmにして95Vの電圧をかければ到達する 2) 3000Wh/kgの到達にはサイズ効果を克服する材料開発が必要 3) HV固体スーパーキャパシタでは、ナノ構造の微細化で エネルギー密度とパワー密度が同時に向上する |
| 前ページへ | 次ページへ |
![]() 図1 HV固体イオンキャパシタ(HV-SIC)の性能予測と目標 | ||
|
図1はナトリウム型HV固体イオンキャパシタ(Na-HV-SIC)の性能予測です。
基準となる赤い点はナノ構造(疑似積層構造)を導入しない厚み500μmの試料の実測値から、厚み10μmの場合を計算した結果です。 青い線は両対数で傾きが2ですので、ナノ構造の単位の―2乗に従ってエネルギー密度が向上すると仮定しています。 これは誘電体の場合のW=(1/2)CV2が成立するという仮定です。 開発の第1目標は300Wh/kgです。現在の試料をそのまま使う場合、ナノ構造単位320nmでこのエネルギー密度が得られます。 このサイズを作るためには粒子径が100-200nmになりますので、この微粒子を完全に固体内に分散する必要があります。 これは大学の研究室では到底できませんが、専門の企業ならば実現可能な範囲です。なお、この時の電圧は試料厚み10μmで95V、厚み20μmで190Vとなります。 なお、このキャパシタの故障モードはオープンですので、耐圧に安全率をかける必要はありません。このキャパシタは短絡的な絶縁破壊はしません。 開発の第2目標は3000Wh/kgです。この値に到達するのはおそらく10年以上の研究開発が必要になります。 克服すべき最大の課題は、分極の飽和によるサイズ効果です。高電場で分極が飽和しない新材料の開発が必要になります。 この開発指針は従来のようなイオン伝導性の向上とは全く逆になります。問題は試料に電圧をかけられないため、ナノ構造を作らなければ材料開発ができないことです。 ここでは計算科学が重要な意味を持ちます。ナノ構造の最適化は電磁界解析シミュレーションで行います。 そして最も重要なのがナノ構造の製造技術になります。 材料の開発、ナノ構造設計、ナノ構造を繰り返すことで、徐々に目標値に近付くと予想されます。 | ||
![]() 図2 各種電池とHV固体イオンキャパシタ(HV-SIC)のラゴーンプロット | ||
|
図2のラゴーンプロットは非常に重要です。電池の場合、エネルギー密度とパワー密度は一般的には両立しませんが、HV固体イオンキャパシタ(HV-SIC)では完全に両立します。
エネルギー密度の増加はナノ構造の微細化による高電圧化で実現されます。
ナノ構造の微細化は内部インピーダンスの低下を意味し、パワーは電圧に比例しますので、高エネルギー密度化は1対1に高パワー化をもたらすわけです。
これも電池にないHV固体イオンキャパシタ(HV-SIC)の利点です。
| ||
|
これ以上の技術情報は有料となります 必要な方は左の「技術指導の契約」をクリックしてください | ||
| 前ページへ | 次ページへ |



